若い世代の6割が規制緩和に賛成「ファッションタトゥー」の偏見はなくなるか
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まだまだ冷え込む日々が続き、温泉やスーパー銭湯が恋しくなりますね。
そんな中、東京都では今年の元日から公衆浴場の混浴制限年齢が10歳以上から7歳以上に引き下げられ、全国的にも子どもの混浴年齢を見直す動きが広がっています。
ちなみに、海外の入浴施設では水着を着用した混浴が一般的で、温泉を利用するシーンも医療や療養目的によるものが多く、日本の「裸の付き合い」や、癒し・レジャー目的の温泉文化は珍しいようです。
また、訪日外国人にとっては「タトゥーの規制」も文化の違いを痛感するポイントかも知れません。
「イレズミ」の意外な歴史、流行から悪のイメージへ
コロナ感染拡大前、訪日外国人旅行者数が増加の一途を辿るなかでは、入浴施設と外国人旅行客の間でタトゥーの有無と入浴可否を巡り、トラブルに発展するケースも少なくなかったそう。
2015年に観光庁が実施した調査によると、全国の約3,800施設のうち、回答があった600施設の約半数以上がタトゥーを入れている人の入浴を禁止しています。
このように日本ではタトゥーの規制がありますが、実は日本におけるタトゥーの歴史は古く、沖縄や北海道のアイヌ民族には通過儀礼的なイレズミの慣習があり、幕末には本州と九州でも流行していたといわれています。
明治以降に規制が強化され、イレズミ=マイノリティの図式が形成されていったのですが、さらに「イレズミ=悪、犯罪」のイメージを加速させたのは1960年以降の任侠映画ブームの影響と考えられているのです。
ファッションとしてのタトゥーが受け入れられる日は来るのか
一方、タトゥーに寛容なイメージのある欧米では、2021年に米ディズニーが「ディズニールック」と呼ばれるテーマパークで働くキャストの身だしなみについて、ダイバーシティやインクルージョンを推進する取り組みの一環として、一定のルールの下でタトゥーを許可するなど規制の緩和を発表しました。
また、近年は日本同様にタトゥーをタブー視していた韓国でも、K-POPアイドルを筆頭に著名人がファッションとしてタトゥーを入れるようになり、若者の間でも広がりを見せ、BTSが公式グッズ化した「インスタントタトゥー」はお洒落なデザインに注目が集まりました。
日本でも、著名人がタトゥーを公開したり、タトゥーシールがトレンドになっていたりとファッションとしてのタトゥーに関心が集まっていますが、価値観に変化はみられるのでしょうか。
トレンドリサーチの調査によると、「入れ墨・タトゥーについて今後、規制を緩和し、ファッション・趣味などとして、もっと一般的なものにしていくべきだと思うか」という質問に対し、30代以上は過半数以上が「していくべきだと思わない」と回答している一方、20代以下は約6割が「していくべきだと思う」と回答。その理由には「多様性を考えるきっかけになる」「ファッションの一部」といった声が挙がっています。
全体でみると、タトゥーは一度入れると基本的に消すことができずMRI検査や献血・輸血に影響がある、ファッションの一部とするにはリスクが大きいなどの理由から、年配を中心にタトゥーに抵抗感を持つ方が多く見られます。
タトゥーを入れるデメリットとして一番に挙げられる「簡単に消せないこと」ですが、最近では2週間程度で自然に消える「インスタントタトゥー」や、化粧品素材を使った消せるタトゥーを肌に印刷できる「カラータトゥープリンター」など、一時的なタトゥーを気軽に楽しめるコスメアイテムも登場しています。
しかし、シールやペイントでもタトゥーを全面的に禁止している施設は多く、未だタトゥーに対する偏見や嫌悪感を抱く人が多いのも事実です。
海外では、ニュージーランドの先住民マオリのように、歴史や伝統からタトゥーが重要な意味を持ち、受け入れられている国もあります。
日本のようにファッションや自己表現としてタトゥーを入れる国では、タトゥーを多様性の象徴と主張することは難しく、ファッションの一部として受け入れられる日はまだ遠いのかも知れません。